英語学参レビュー①杉村忠一『英文法詳解』 (学研)
留学準備やらスクーリングやらで忙しく、しばらく間が空いてしまいました。またこのブログも更新していこうと思います。
さて、今回から英語の学参レビューを始めようと思います。世間で有名な参考書は実際のところどうなのか、あるいは知られていないけどすぐれている参考書を紹介していきます。
それぞれの参考書については、まずレベルや用途、そして長所と短所、最後に使い方などを説明していこうと考えています。
紹介していく順番はランダムでいこうと思っています。あまり考えすぎると更新が滞ってしまいますので。
それでは始めましょう!
初回に取り上げるのは、杉村忠一『英文法詳解』 (学研) です。
価格:6,989円 |
本記事をアップしている現在、まだAmazon様とアフィリエイト契約を結べていないので、楽天様のリンクを貼っておきますが、おわかりのように、最近品切れになり、中古での価格が高騰している本書!なんと、まだ新刊書店ではふつうに陳列されていることがあります!! (私は先日近所のイオンモールに入っている中規模書店で見かけました。) まだお持ちでない方は、今はまだ使いみちがわからなくても、いつか役に立つと思って、ぜひ買っておくといいでしょう!
・点数
全体評価:☆☆☆☆☆ (五つ星:必ず手元に置いておいてほしい)
難易度:高校初級~上級
・レベルと用途
この参考書はいわゆる文法レファレンス本で、通読してもよいのかもしれませんが、普通は、英語を勉強していてわからないことが出てきたときに巻末の索引で検索してそこだけ参照するものだと思います。あるいは苦手な単元だけ熟読するとか。
この種の文法レファレンス本には、有名どころとして他に、江川泰一郎『英文法解説』 (金子書房) があります。また、より専門的なものに安藤貞雄『現代英文法講義』 (講談社) があります。 (それぞれについてはまたレビューしていきたいと思っています。)
この本は、上記の『英文法解説』と双璧をなす本で、どちらを手元に置いておくかは好みによるでしょう。『英文法解説』が例文を多く載せており (どの英文もよく練られた素晴らしいもので、和訳も含めてこの本の一番の魅力になっています) 、説明より例文に語らせるスタイルでやや塩対応 (上級者向け) なのに対し、『英文法詳解』のほうが説明が丁寧で和訳のコツなども載っており、初~中級者向けといえます。
もちろん、『英文法詳解』のほうにも、ほかの参考書には載っていないような驚くほど細かな事項が載っていることがあり。上級者まで使用にたえるでしょう。ですので、大学受験生だけでなく、大学生や、英語を教える仕事についている人も、頻繁に参照することになるはずです。
・長所 (と短所)
上の説明でほとんど長所は言ってしまいましたが、あえて繰り返すなら、説明がとても丁寧で、英語を日本語に訳す際のコツのようなことまで触れられています。ほかの文法レファレンス本には見られない特徴と言えます。
たとえば、この本の再帰代名詞の解説を見てください。〈他動詞+再帰代名詞〉はしばしば自動詞のように訳すことがあるのですが (e.g. enjoy oneself「楽しむ」) 、さらに、受動態のように訳すこともあります (e.g. explain oneself「説明される」) 。こうしたことを項目化して説明してくれてあると、指導者は生徒に教えるときにとても重宝します。
このように、『英文法詳解』でしか説明されていない項目が少なくないというのが、この本をぜひ一冊は買って手元に置いておきたい理由です。
私個人として、学習者としてはもちろん、英語講師になってからこの本の説明に何度救われたことが、数えたらきりがありません (私のものは付箋だらけになっています!) 。
短所は特に思いつきませんが、あえて言うなら、単元の配列にやや癖があることでしょうか。句・節などの説明が後ろのほうにあったりします。でもこれは著者独自の体系化で、それ自体ストロングポイントともいえます。
・使い方
普通には、文法でわからないことを調べる、レファレンス用に持っておくものと思います。苦手な単元だけバーッと読んでみるのもよいでしょう。全体を通読する人はあまりいないのではないでしょうか。少なくとも私はしたことがありませんし、多くの人は途中で挫折すると思います。英文法の全体像を頭にいれたいなら、もっと薄い参考書でざっとみるのが吉です。そうした用途にあった参考書はまたこのブログで紹介します。